OMUKAE☆DATE♪
ガックリ落ち込む私をよそに、篠原君はどんどん歩く。
ヨウタくんをタクニイさんに届けるべく、あのアヤシくも面白い店へ向かう。
島田文具店の横を通るあたりで、ユリちゃんのテンションが上り始めた。
――行き先がわかるのだろうか。
お人形たくさんあるからね。
女の子だね、やっぱり。
ヨウタくんもご機嫌だ。
いいな。子供はなんにも考えなくていい。
「どうしたの前田さん。さっきから黙っちゃって。疲れたの?」
篠原君がちょっと覗き込んで言う。
「ううん、何でもない。今日来るお客さんってどんな人かなって」
「かなり以前からのお得意様らしいんだ。
注文の品物が出来上がってきたから、受けとりに来るって」
店へ行くと金髪の青年が出迎え、篠原君と二人で中へ入った。
「わああ……」
思わず声に出して驚く。
タクニイさんは等身大のお人形にドレスを着付けているところだった。
白磁の肌。艶やかで、たっぷりとした黒髪。
その容姿に合う白のフリルとレースいっぱいのブラウス。
黒のビスチェ風ジャンパースカートは、コルセットのようにリボンで縛る作り。
所々に施された薔薇の刺繍はさらに所々、立体仕立てになっている。
横を向いてるお人形の首が、くりんとこちらを向いたかと思うと、
「あ、赤ちゃんだあ。カワイイ‼」
と、パアッとした表情になった。
……しゃ、しゃべった。……お人形が。
そんなわけなくて……。
「お人形かと思った」
となりに居た篠原君が言う。
「よく言われるの」
ドレスを着た女性が答えた。
よく言われることなのか⁉
自分で美人だって言い切ったよ?今。
――私もお人形と間違えたけど。
「ヨウタくん久しぶり~。おっきくなったねえ~。前はもっとばぶばぶだったのに~」
ドレスの女性は、にこにこしながらヨウタくんのほっぺをなでなでした。
「あー!」
返事するヨウタくん。
「君は?」
ヨウタくんを抱えている篠原君に、ドレスの女性は訊く。
「店長の知り合いで……この子のお迎え要員。って言ったら……解りやすいですかね……」
考えながら篠原君が答えると、
「あー、ゆーとくんってきみかあ」
こちらも話が通っているようだ。
「で?こっちのカワイイ女子は?」
と、続けてなんだかうれしい事を聞いた。
「ユリちゃんはまだ赤ちゃんだから、ヨウタの彼女とかそういうんじゃないと思うけど……」
やっぱり考えながら答える篠原君。
「何を言ってるんだ君は」
目を丸くするドレスの女性。
「誰が赤ちゃんの話をしているのだ?」
タクニイさんがやさしく微笑みながら言う。
「優人は照れ隠しが解りにくいのよ」
「ふふ~ん。そーなのお?」
流し目になってドレスの女性が言う。
「ま、そんなことより……」
タクニイさんは言って、
(え?この話題ここで終わり⁉)
いそいそと奥からオレンジ色の長方形のケースと赤色の丸いケースを抱えて戻ってきた。
オレンジ色のケースを開けると、銀色の髪をした眼の青いお人形が姿を現す。
着ているドレスはお揃いだ。
唯一違うのは、お人形は服地と共布のボンネットを被っている。
「そこはぬかりは無いわよ」
タクニイさんは言うと、赤色のケースからお人形とお揃いのボンネットを取り出した。
「他ならぬ、夕美さんと可憐ちゃんのご注文だもの。デザイナーさんと何度も相談してこの型になったの」
ちょっと得意げなタクニイさん。
ボンネットを被った……夕美さん?は、完璧にお人形だった。
可憐ちゃん……というのはお人形の名前だろうか。
夕美さんは可憐ちゃんを抱きかかえて、しずしずとこちらへ来た。
ヨウタくんをタクニイさんに届けるべく、あのアヤシくも面白い店へ向かう。
島田文具店の横を通るあたりで、ユリちゃんのテンションが上り始めた。
――行き先がわかるのだろうか。
お人形たくさんあるからね。
女の子だね、やっぱり。
ヨウタくんもご機嫌だ。
いいな。子供はなんにも考えなくていい。
「どうしたの前田さん。さっきから黙っちゃって。疲れたの?」
篠原君がちょっと覗き込んで言う。
「ううん、何でもない。今日来るお客さんってどんな人かなって」
「かなり以前からのお得意様らしいんだ。
注文の品物が出来上がってきたから、受けとりに来るって」
店へ行くと金髪の青年が出迎え、篠原君と二人で中へ入った。
「わああ……」
思わず声に出して驚く。
タクニイさんは等身大のお人形にドレスを着付けているところだった。
白磁の肌。艶やかで、たっぷりとした黒髪。
その容姿に合う白のフリルとレースいっぱいのブラウス。
黒のビスチェ風ジャンパースカートは、コルセットのようにリボンで縛る作り。
所々に施された薔薇の刺繍はさらに所々、立体仕立てになっている。
横を向いてるお人形の首が、くりんとこちらを向いたかと思うと、
「あ、赤ちゃんだあ。カワイイ‼」
と、パアッとした表情になった。
……しゃ、しゃべった。……お人形が。
そんなわけなくて……。
「お人形かと思った」
となりに居た篠原君が言う。
「よく言われるの」
ドレスを着た女性が答えた。
よく言われることなのか⁉
自分で美人だって言い切ったよ?今。
――私もお人形と間違えたけど。
「ヨウタくん久しぶり~。おっきくなったねえ~。前はもっとばぶばぶだったのに~」
ドレスの女性は、にこにこしながらヨウタくんのほっぺをなでなでした。
「あー!」
返事するヨウタくん。
「君は?」
ヨウタくんを抱えている篠原君に、ドレスの女性は訊く。
「店長の知り合いで……この子のお迎え要員。って言ったら……解りやすいですかね……」
考えながら篠原君が答えると、
「あー、ゆーとくんってきみかあ」
こちらも話が通っているようだ。
「で?こっちのカワイイ女子は?」
と、続けてなんだかうれしい事を聞いた。
「ユリちゃんはまだ赤ちゃんだから、ヨウタの彼女とかそういうんじゃないと思うけど……」
やっぱり考えながら答える篠原君。
「何を言ってるんだ君は」
目を丸くするドレスの女性。
「誰が赤ちゃんの話をしているのだ?」
タクニイさんがやさしく微笑みながら言う。
「優人は照れ隠しが解りにくいのよ」
「ふふ~ん。そーなのお?」
流し目になってドレスの女性が言う。
「ま、そんなことより……」
タクニイさんは言って、
(え?この話題ここで終わり⁉)
いそいそと奥からオレンジ色の長方形のケースと赤色の丸いケースを抱えて戻ってきた。
オレンジ色のケースを開けると、銀色の髪をした眼の青いお人形が姿を現す。
着ているドレスはお揃いだ。
唯一違うのは、お人形は服地と共布のボンネットを被っている。
「そこはぬかりは無いわよ」
タクニイさんは言うと、赤色のケースからお人形とお揃いのボンネットを取り出した。
「他ならぬ、夕美さんと可憐ちゃんのご注文だもの。デザイナーさんと何度も相談してこの型になったの」
ちょっと得意げなタクニイさん。
ボンネットを被った……夕美さん?は、完璧にお人形だった。
可憐ちゃん……というのはお人形の名前だろうか。
夕美さんは可憐ちゃんを抱きかかえて、しずしずとこちらへ来た。