OMUKAE☆DATE♪
……これはどうしても、
プロに付いてレッスンしたい。
休みの日や、理由をつけて会社をサボったりして習いに行くのは限界が有ったのね。
周りに黙っていたらどうしてもウソつかなきゃならなくなる。
それで意を決して、
『声優学校か個人レッスンに行かせて下さい。会社の上司にも相談します』
って、
両親に私の名前が入っているチラシや番組表見せたの。
最初は怒られたのね。
『勝手なことして……』
って。
でも、もう、声のお仕事やる気満々だったから。
同時に会社にも話して習い事の為に休みを取っても良いかを確認したの。
そしたら、すんなりOKが出たのね。
『宴会芸、面白かった。
……あまりに意外性がありすぎてびっくりしたよ。
本当に色々違う声色がでるんだね。
才能あるんじゃないかな』
……ありがとうございます。課長。
もうこの際、あきれられているのでも何でもいい。
会社から許可が出た話をしたら、両親も折れたの。
会社をすぐに辞めない事を条件に……」
それって、
「学校に行っても良い、って言ってもらえたんですか?」
つい、聞いた。
「そ、晴れてプロの先生に教えてもらってレッスン受けてまーす。
ここまで長い道のりだったわあ。
イベント参加も土日の分だけお請けして、
プロの方々の中で修行中!」
「ホント、良かったわね……。念願のレッスン受講が叶って。
今日お買い上げの衣裳もイベント用なの。
これなら人目を引くことうけ合いね。
よく似合っているし」
タクニイさんがそう言ってほほえむ。
「あっ、時間……」
夕美さんは時計を見た。
「ごめん、……長々と語っちゃって。
私、他に寄るところが有ったんだった」
慌てて振り返り、
「それじゃ店長、この衣裳、包んで!」
と、言った。
タクニイさんはにこにこと、
「……では、殿方はこの部屋の外へお願いしますね」
と言った。
そうして、店員の金髪青年と篠原くん、ついでに私とユリちゃん。
全く意味無くヨウタくんまで外の通路に出た。
「店長が一番男っぽいんですけどね」
金髪の青年が言う。
「『アタシは今、心が女なの』って言ってたよ。前に聞いたけど」
篠原くんが呟く。
「役得だよな」
何?篠原くん、見たいの?見たいのか⁉
「前田さんとユリちゃんは外に出なくて良かったんじゃないの?」
ヨウタくんを抱える篠原くんの言葉に、
「すいません。フィッテイングルームに入荷を置いちゃってるんで今、使えないんです。
店が狭いもので。……居辛いですよね」
金髪の青年が言う。
「着付けるときも僕は外に出てました。
肩とウエスト、あと着丈も合っているか見なければいけませんし、試着は必要です。
それにガーターは下着をくぐらせなければならないので」
……えらく本格的だ。
「おそらく店長の趣味も便乗されていると思いますけど。
ゴシックロリータなコスチュームは大好きなのでこだわりがものすごいです」
金髪の青年の言葉に、
「……卓にい、何で女装しているのに自分でかわいいの着ないんだろうね」
篠原くんが恐ろしい事を聞く。
「そこも、こだわりで……、絶対に似合ってなければいけないんです。
だから、お客さまに対してもダメ出し凄いですよ。
聞いててヒヤヒヤするくらい。
店長の為にクラシックなドレスを作るとしたら、
……時間もお金もいくらあっても足りませんよ」
そんなに話をしているうちに、ドアが開いて夕美さんが出てきた。
ドレスでない夕美さんは……、
何と言うか、全く会社勤めの人だった。
淡いブルーにペンシルストライプのブラウスは先の尖った衿とカフス。
前見頃にピンタックの細かなラインがあるところが、女性らしいといえばらしいが、
紺のスラックスとパンプスは可愛いらしさや華やかさからは遠かった。
プロに付いてレッスンしたい。
休みの日や、理由をつけて会社をサボったりして習いに行くのは限界が有ったのね。
周りに黙っていたらどうしてもウソつかなきゃならなくなる。
それで意を決して、
『声優学校か個人レッスンに行かせて下さい。会社の上司にも相談します』
って、
両親に私の名前が入っているチラシや番組表見せたの。
最初は怒られたのね。
『勝手なことして……』
って。
でも、もう、声のお仕事やる気満々だったから。
同時に会社にも話して習い事の為に休みを取っても良いかを確認したの。
そしたら、すんなりOKが出たのね。
『宴会芸、面白かった。
……あまりに意外性がありすぎてびっくりしたよ。
本当に色々違う声色がでるんだね。
才能あるんじゃないかな』
……ありがとうございます。課長。
もうこの際、あきれられているのでも何でもいい。
会社から許可が出た話をしたら、両親も折れたの。
会社をすぐに辞めない事を条件に……」
それって、
「学校に行っても良い、って言ってもらえたんですか?」
つい、聞いた。
「そ、晴れてプロの先生に教えてもらってレッスン受けてまーす。
ここまで長い道のりだったわあ。
イベント参加も土日の分だけお請けして、
プロの方々の中で修行中!」
「ホント、良かったわね……。念願のレッスン受講が叶って。
今日お買い上げの衣裳もイベント用なの。
これなら人目を引くことうけ合いね。
よく似合っているし」
タクニイさんがそう言ってほほえむ。
「あっ、時間……」
夕美さんは時計を見た。
「ごめん、……長々と語っちゃって。
私、他に寄るところが有ったんだった」
慌てて振り返り、
「それじゃ店長、この衣裳、包んで!」
と、言った。
タクニイさんはにこにこと、
「……では、殿方はこの部屋の外へお願いしますね」
と言った。
そうして、店員の金髪青年と篠原くん、ついでに私とユリちゃん。
全く意味無くヨウタくんまで外の通路に出た。
「店長が一番男っぽいんですけどね」
金髪の青年が言う。
「『アタシは今、心が女なの』って言ってたよ。前に聞いたけど」
篠原くんが呟く。
「役得だよな」
何?篠原くん、見たいの?見たいのか⁉
「前田さんとユリちゃんは外に出なくて良かったんじゃないの?」
ヨウタくんを抱える篠原くんの言葉に、
「すいません。フィッテイングルームに入荷を置いちゃってるんで今、使えないんです。
店が狭いもので。……居辛いですよね」
金髪の青年が言う。
「着付けるときも僕は外に出てました。
肩とウエスト、あと着丈も合っているか見なければいけませんし、試着は必要です。
それにガーターは下着をくぐらせなければならないので」
……えらく本格的だ。
「おそらく店長の趣味も便乗されていると思いますけど。
ゴシックロリータなコスチュームは大好きなのでこだわりがものすごいです」
金髪の青年の言葉に、
「……卓にい、何で女装しているのに自分でかわいいの着ないんだろうね」
篠原くんが恐ろしい事を聞く。
「そこも、こだわりで……、絶対に似合ってなければいけないんです。
だから、お客さまに対してもダメ出し凄いですよ。
聞いててヒヤヒヤするくらい。
店長の為にクラシックなドレスを作るとしたら、
……時間もお金もいくらあっても足りませんよ」
そんなに話をしているうちに、ドアが開いて夕美さんが出てきた。
ドレスでない夕美さんは……、
何と言うか、全く会社勤めの人だった。
淡いブルーにペンシルストライプのブラウスは先の尖った衿とカフス。
前見頃にピンタックの細かなラインがあるところが、女性らしいといえばらしいが、
紺のスラックスとパンプスは可愛いらしさや華やかさからは遠かった。