OMUKAE☆DATE♪
小学校の裏門横の細道を抜け、

スーパーの搬入口の前を通り、

『島田文具店』と書かれたひさしのついた閉まっているシャッターの横の、さらに細い道を通る。

どんな所へ連れて行かれるのか、全く見当がつかない。

「あの……、篠原くん?」

子連れなんですけど、私たち。

篠原君はイタズラっぽい目で振り向き、

「心配?大丈夫、着いたよ。ここ」
と、レンガ色のアパートを見上げた。

一階にはショーウィンドウがあり、婦人服のショップが入っている。隣は和食屋だ。

「ここ?」
お洋服屋さん?

「上、上」
篠原君はヨウタくんを抱えたまま指差す。
黙って付いて来たことで、逆におもしろがられているようだ。

ユリちゃんは一応仲間(ヨウタくん)がいることで今のところ落ち着いている。

が、みんなでエレベーターに乗り込むと、
「うう……」
と、不安げな声をあげた。

そういえばこんなときのためにマシュマロを買っていたのだ。

肩にかけたかばんを不自然な体勢でさぐる。

腕はすっかりしびれていた。
マシュマロは取り出すのをあきらめた。

エレベーターのドアが開く。



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