OMUKAE☆DATE♪
タクニイさんが退けた人形は、いつの間にか金髪の青年に渡されていた。
「どうしろって言うんです?」
両手に人形を抱えたまま、青年は言う。
「もう置くとこ無い。何とかして?」
そう言うタクニイさんはヨウタくん抱えて、自分が今まで横になっていた長椅子へ。
「お前達、何処へ行きたい?」
顔の両側に人形を寄せて、青年が訊く。
「フム、高い所が良いと。フムフム、愚かなる人間どもを見下してやりたいと……左様か。
……了解した」
青年は芝居気たっぷりに言うと、
一体は壁掛け時計の上に、もう一体は食器棚の上に座らせた。
それぞれの場所に先客がいる。
「どんどん訳が解らなくなっていくわねエ。
この店のレイアウトも」
タクニイさんが言う。
「他人事みたいに言わないで下さい」
金髪の青年が言う。
その言葉は聞き流し、
「ごめん、何か飲み物あげて?この子達に。
長く歩いて来たなら、冷たいものがいいかな」
そう言い、タクニイさんはテーブルに置いてある自分のカップに手を伸ばした。
「ストップ‼それ、だめです」
青年が言う。
「さっき飲みかけた紅茶よ?」
タクニイさん。
「香り付けと称して、ミニ瓶のブランデー1本入れましたよね?
カクテルです、それはすでに。
お客様全員、未成年ですから没収。
接客中に飲まない。
少しは考えてくださいよ」
金髪の青年はタクニイさんからカップを取りあげた。
どちらが店長だかわからない。
青年はテーブル(の、狭いスペース)にクラシックなデザインのグラスを(手早く器用に)並べると、
隅にある(ここだけ現実のような)冷蔵庫からボトルを取り出し注いだ。
透き通った藤色の液体から、細かな飛沫が弾ける。
「スミレの色素を加えたグレープジュースのサイダー割りです。
綺麗でしょう。
グラスがお酒用ですので。
雰囲気だけ楽しんで」
青年はにっこり微笑んで言う。
どこから出してきたのか
背もたれ無しの黒のパイプ椅子が二脚。
す、座れる。……疲れた。
ユリちゃんとヨウタくんは、紙パックの乳酸菌飲料をストロー付きで持たせてもらっていた。
「ところで、タクニイさんと篠原くんはどういうご関係なの?」
それが知りたくて来たのだった。
あまりに不思議空間で忘れるところだった。
あ、このサイダー、美味し。
タクニイさんは驚いて、
「え?何も聞いてないの?予備知識ゼロじゃ、この状況キツすぎない?」
と、言った。
はい、とっても。早く教えて下さい。
タクニイさんは篠原くんを見た。
「この子は大丈夫なんじゃないの?変な事言って言いふらしたりしないと思うけど?」
「うん、僕もそう思う」
篠原くんが言う。
タクニイさんは、
「実はね、ワタシは優人のボディーガードだったの」
胸を張って言う。
その言葉に篠原くんは、
「ちょっと違う」
金髪の青年は、
「話、盛り過ぎでしょ、また。
それも悪いクセなんだから」
「えー?だって、そうでしょ?ワタシ在っての優人でしょ?」
胸を叩きながら言うタクニイさんに、
篠原くんは、
「それはそうだけど……。
やっぱり、卓にいとのいきさつは、自分で話す。
この店は綺麗でごちゃごちゃして、
すごくおもしろいから連れて来たかっただけなんだ。
卓にいにも会わせたかったし」
「そう。自分で話すって決めたのならいいけど、ワタシはカッコいいんだからね。ホントはね」
なんだか威張るタクニイさん。
「女の子相手だからって何、こだわってるんですか」
笑いながら金髪の青年がッツコむ。
その後、タクニイさんと青年は仕事の(だと思う)話を始めた。
「さ、俺は帰ろ」
篠原くんはそう言って、
「前田さん、送ってくよ」
「どうしろって言うんです?」
両手に人形を抱えたまま、青年は言う。
「もう置くとこ無い。何とかして?」
そう言うタクニイさんはヨウタくん抱えて、自分が今まで横になっていた長椅子へ。
「お前達、何処へ行きたい?」
顔の両側に人形を寄せて、青年が訊く。
「フム、高い所が良いと。フムフム、愚かなる人間どもを見下してやりたいと……左様か。
……了解した」
青年は芝居気たっぷりに言うと、
一体は壁掛け時計の上に、もう一体は食器棚の上に座らせた。
それぞれの場所に先客がいる。
「どんどん訳が解らなくなっていくわねエ。
この店のレイアウトも」
タクニイさんが言う。
「他人事みたいに言わないで下さい」
金髪の青年が言う。
その言葉は聞き流し、
「ごめん、何か飲み物あげて?この子達に。
長く歩いて来たなら、冷たいものがいいかな」
そう言い、タクニイさんはテーブルに置いてある自分のカップに手を伸ばした。
「ストップ‼それ、だめです」
青年が言う。
「さっき飲みかけた紅茶よ?」
タクニイさん。
「香り付けと称して、ミニ瓶のブランデー1本入れましたよね?
カクテルです、それはすでに。
お客様全員、未成年ですから没収。
接客中に飲まない。
少しは考えてくださいよ」
金髪の青年はタクニイさんからカップを取りあげた。
どちらが店長だかわからない。
青年はテーブル(の、狭いスペース)にクラシックなデザインのグラスを(手早く器用に)並べると、
隅にある(ここだけ現実のような)冷蔵庫からボトルを取り出し注いだ。
透き通った藤色の液体から、細かな飛沫が弾ける。
「スミレの色素を加えたグレープジュースのサイダー割りです。
綺麗でしょう。
グラスがお酒用ですので。
雰囲気だけ楽しんで」
青年はにっこり微笑んで言う。
どこから出してきたのか
背もたれ無しの黒のパイプ椅子が二脚。
す、座れる。……疲れた。
ユリちゃんとヨウタくんは、紙パックの乳酸菌飲料をストロー付きで持たせてもらっていた。
「ところで、タクニイさんと篠原くんはどういうご関係なの?」
それが知りたくて来たのだった。
あまりに不思議空間で忘れるところだった。
あ、このサイダー、美味し。
タクニイさんは驚いて、
「え?何も聞いてないの?予備知識ゼロじゃ、この状況キツすぎない?」
と、言った。
はい、とっても。早く教えて下さい。
タクニイさんは篠原くんを見た。
「この子は大丈夫なんじゃないの?変な事言って言いふらしたりしないと思うけど?」
「うん、僕もそう思う」
篠原くんが言う。
タクニイさんは、
「実はね、ワタシは優人のボディーガードだったの」
胸を張って言う。
その言葉に篠原くんは、
「ちょっと違う」
金髪の青年は、
「話、盛り過ぎでしょ、また。
それも悪いクセなんだから」
「えー?だって、そうでしょ?ワタシ在っての優人でしょ?」
胸を叩きながら言うタクニイさんに、
篠原くんは、
「それはそうだけど……。
やっぱり、卓にいとのいきさつは、自分で話す。
この店は綺麗でごちゃごちゃして、
すごくおもしろいから連れて来たかっただけなんだ。
卓にいにも会わせたかったし」
「そう。自分で話すって決めたのならいいけど、ワタシはカッコいいんだからね。ホントはね」
なんだか威張るタクニイさん。
「女の子相手だからって何、こだわってるんですか」
笑いながら金髪の青年がッツコむ。
その後、タクニイさんと青年は仕事の(だと思う)話を始めた。
「さ、俺は帰ろ」
篠原くんはそう言って、
「前田さん、送ってくよ」