素肌に蜜とジョウネツ

「けどさぁ、確かにさっきのアレは面倒だったな~股がけバレて向こうが別れたいって言うからこっちは了承したのにさ、〝なんでそんなに簡単に言えるわけ!?”とか怒鳴られるし、泣かれるし~…」


そう話しながら苦笑いする、雅ちゃん狙いのお客様。


「かと思ったら〝他の女と別れたら許してやる”とか言い出すしさ、意味わからなくね?こっちからしたら、いや、別にお前イイし、何勘違いしてんの?って感じだよ~」

マジ、ダリぃわ~


そんな言葉が吐かれた時、

グラスにアイスとウイスキー、ミネラルウォーターを入れ、マドラーでかき混ぜていた私の手が止まる。

そして次の瞬間、

この水割りを雅ちゃんの隣りに居るお客様に向かって―…


ぶっかけたい。


そんな衝動に駆られる。けど―…

グッとグラスを持つ手に力を入れて、水滴を拭き、


「どうぞ―…」


隣りに座る、お客様のコースターに水割りを置いた。

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