素肌に蜜とジョウネツ

「〝貴館の従業員が貴館とは似つかわしくない場所でも働いているようです。看板となるべき存在がそのような場所に勤めるのは如何なものでしょうか”……」


文面を読み上げたのは美山ちゃん。


「何ですかぁ、これ?」

「宿泊サービス部門に送信されてきたんだけど、差出人は不明なんだ。うちの従業員が副業をしてるって事を言いたいんだろうけど、誰がとも書かれていないし―…」

「もしかして、神崎マネージャーがこんな時間まで残っていたのって、このFAXが問題になって、って事ですか??」

「いや、残っていたのは単に雑談が長引いただけ。僕が帰宅しようとしたらちょうどそれが送られてきて、ただ具体的な事が書かれていないからどうしたものかと」


二人の会話を黙ったまま聞いてしまう。

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