素肌に蜜とジョウネツ
2、最悪と最高の印象を持つ男



「ちょっと、いいかな?」

「っ!」


お昼休憩を終える約十分前、

食堂からフロントに戻る途中の職員専用通路で声をかけてきたのは、艶やかな黒髪のオールバック姿が見目麗しい男性。


「さっき、フロントにいたコだよね?」


紛れも無く、高輪マネージャー……!!


「は、はいっ、そうですけど……」


まさか、さっきの今で、会話が出来るなんて思っていなかったから戸惑う。

しかも、高輪マネージャーから声をかけてくるだなんて……!


「話があるんだけど―…時間は取らせないから、ちょっといい?」

「えっ?あ、は、はいっ」


私が返事をすると、歩き出す高輪マネージャー。

その後ろに着いて行くと、人気の無い職員専用階段の踊り場まで来て―…


何何何何なにぃー…!?


この展開、何っ!?

ま、まさか、さっきのアレで一目惚れしちゃったから先ずは連絡先を交換……とかいう、突然の告白とかじゃないよねぇ??


なんて事を想像して、柄にもなく緊張で固まってしまう私……

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