素肌に蜜とジョウネツ
「ケガないか―…?」
「大丈夫……です」
「なら、良かった」
あの夜と同じ様な会話のやりとり。
だけど、気持ちは全く違う。
「……」
何よりも先に、助けてくれた事へのお礼をしなければならないのに、口びるが開いてくれない。
「とにかく、中に入ろう」
そっと、高輪マネージャーが私の肩を抱き、支えられる様にしてマンションへと歩き出す。
今夜は、触れられている部分から痛みが広がる。
キュンとなる痛みじゃなくて、純粋に感じる痛み。
エレベータに乗ったところで、
「本当にアイツをあのまま帰して良かったのか?」
高輪マネージャーに聞かれて、
「はい……」
とだけ、私は答える。