素肌に蜜とジョウネツ

「服装と髪型が違って、眼鏡ないってだけでそんなに気付かないものなの?」

「(フクソウ、カミガタ、メガネ)……」


間違いない。

昨日の男だ……

名前は……そう、確か、


「カオルっ!……さ……ん」

「そう。昨日の客で、一昨日から営業マネージャーとして君と同じ職場に入った“高輪薫”。思い出したみたいだから、もう一度聞くけど、ジッポ。店に忘れてなかった?」

「わ、私はちょっと……もしかしたら、ボーイが見つけてるかも……」

「じゃあ、確認しておいてよ。あれ、結構気に入ってるから」

「ハ、ハイ……」


取り敢えず、高輪薫マネージャーの言葉に素直に答えてはみた。

ただ気になるのが、やっぱり、このキツイ言い方。

昨夜のカオル氏と同一人物だ。

っていうか、それよりも大きな問題は―…

直属ではないにしろ、会社の上司に夜のお仕事という副業がバレてしまったという事。

昨日の男が高輪マネージャーと気付いた時点でしらばくれた方が良かった……?

とも一瞬、考えてしまったけど、これは下手な誤魔化しが効かないタイプだと思う。

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