素肌に蜜とジョウネツ
心の中でそんな絶叫をすると、同時に部屋の斜め前に設置されたエレベーターが開く音がした。
出てきたのは、よくメニューチラシがポストに入ってる蕎麦屋のお兄さん。
良かったぁ。
微スマイルにやられる前に助かったぁ~…と、安堵する私。
「―…届いたか」
「みたいですね。では、早くお部屋に戻って夕ご飯にしてください」
「君に言われなくてもそうするよ」
「はいはい。そうして下さい」
「そうそう。ジッポの件も忘れないでくれよ」
「はいはい。わかってます」
「じゃあ、黙っておく代わりに君は夕飯を届けるという契約、明日から頼んだよ」
「はいはい。わかってま―…」
って!
そんな契約してないっ。
「ちょっ……そんな一方的な話っ」
“困ります!”
と、言おうとする私の訴えなんて無視で、
「じゃ、また明日、職場と夕飯時に」
そうクールな顔で言うと、
バタンッ、
高輪マネージャーは玄関ドアを閉めて帰って行った。