【男スポ短編】‡おわりのはじまり‡
prologue epilogue
始まりはどこか?


そう聞かれるとちょっと困る。


だってそれは『何』の始まりなのかがよくわからないから。


好意の始まり?わからないよ。
人を好きになる、って言うのは意識的に出来る事じゃないもの。だからわからない。


不安の始まり?それもわからない。
彼の好意が私に向いてるのかわからないうちに、気付いたら既に心の中にはそれがいたから。


絶望の始まり?ごめんね。それもわからないの。
不安は結局どうしようもなくて、それをズルズル引きずるしかなくて、不安がいつの間にか私の中でドロドロに溶けてて、凝固したらそれはもう、不安じゃなかったの。


それは絶望だったの。


ごめんね。わからないことばっかりで。でもね。一つだけ、『終わりの始まり』ならわかるよ。









きっとね。あれはたぶん二カ月前、あなたと私がすれ違った、何でもない一瞬からだよ。
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