キミに夢中な俺‼



結婚式並みの凄い人達。

「キャーキャーキャーキャ」

女の人達は、紬や喜代乃達より
可なり年上。
論達の同期や先輩、後輩
モテモテの輪にいるのは
論と、悠人だった。


「当たり前だけど、モテモテだね。
 ソロソロ許してやれば?」

自分は論に対して手厳しかった癖に
悠人には他人事に思えるのか甘い‼。
紬は、甘い‼


    「紬!、あれみてみー。」

喜代乃の指差す方をみる。
悠人は、連れの彼女を手招きして
、先輩、後輩に、紹介していた。

満面の笑顔で悠人に
飛びついて来た彼女の
肩を軽く抱いて、
悠人は、チラッと喜代乃を見てフッと、
笑った。

彼の腕には彼女。
年は喜代乃より3歳位上だろうか。

それを見ていた紬も流石に
イラッときたのか

「よし!!喜代乃今日は楽しもう。」
 紬と、喜代乃はグラスを掲げ

   「カンパーイ!!」


赤いワインが喜代乃の涙を呑んだ。
「ふ~つ、おいしいっ。」

もう一杯ゴクッ、もう一杯ゴクッ

悠人は、彼女と、楽しく談笑している。

高らかに音楽が鳴り始め
オーケストラの演奏が始まった。

舞踏会形式なので悠人と、
彼女がダンスをはじめた。

悠人が彼女の手を支え2人は
軽やかにステップを踏んだ。


悠人の軽い身のこなしは
喜代乃を釘付けにした。

    「ヤッパリカツコイイ♡」

少しウルッときた。
「あー、お似合いだね。
 あのふたり。」



周りから賞賛を浴びている。



少し嫉妬が頭をもちあげたが
あれでいい。


彼女は始めから悠人と、
ダンスを踊るため
赤いカクテルドレスにしたのね。



身の丈にあった生活。



身の丈に合わないワイン。
大人の味わい。
貧乏育ちの喜代乃にはもう飲めない
だろう。


  高級な ワイン
  でも、おいしい。

赤くて綺麗で、香りも芳醇
まろやかで、角がなく微量な
自然の甘味一口飲めば
全体を包むような火照り。
   
 身の丈に合わない上等のワイン。


喜代乃はこのワインの味を
ワインを口にするたび
思い出すだろう。

私の元彼悠人と、いっしょ。
ふ~つ、
    私は高級な赤いワインには
        成れない。



 
目の前を論と紬が喜代乃に
ウインクしながら踊りはじめた。

喜代乃は軽く手を振った。

論さんが特訓したのかな?
紬凄く綺麗。


その斜め前を悠人と、
彼女が踊っている。

悠人は、微笑みながら
彼女をみた後
クルッと回って、
喜代乃には、冷たい目を向けてきた。


さっきのお返しか

  「こっちみるな!!!」
彼の目は、そう言っていた。

ステップは、喜代乃の近くまできて
会話がきこえた。


「恵美!凄く綺麗だ。」

    「悠人も凄くすてきよ。」



もう呼び捨て出来るほど
仲良くなったの?
喜代乃の胸に持ち上がった嫉妬心は、
身の丈と言う金鎚で、ゴンゴン
打ちつけられた。



来て良かった。


悠人をしっかりと諦められた。


喜代乃はワインをまた
三杯ほど飲んだ。


ピンクの着物の振り袖を上げ
赤ワインを悠人と、彼女の躍る姿に
カンパーイと、クチパクしながら掲げた。

悠人は、喜代乃に聞こえるように


「着物より、ヤッパリ赤いドレスが
 俺は好きだな。
 凄い似合ってるよ。

 君が欲しくなる。
 これレンタル?」


   「クスクスクス、まさかでしょう。
    特注品ょ。
    悠人は、レンタル?」

「さあな!!
 今度はレンタルにするよ。
 どこかの誰かさんみたいにねー。」



喜代乃の顔をシッカリ見ながら
薄ら笑いを浮かべ、
挑発する様な目を向けた。
そして・・・恵美の腰を
しっかりと引き寄せた。


恵美もキャッと言いながら
嬉しそうな笑顔を見せた。
まさに恋した女の顔だった。



喜代乃の振り上げた手は力無く
静かに降りた。


喜代乃は胸の奥か
ら体全体にドンと突き落とされた
ような、衝撃に耐えていた。

赤ワインは少し、
悲しげな喜代乃の艶々した
唇にグイグイ飲まれていった。

2人は楽しく笑いあい
もう恋人同士のようだった。


体全体にワインが回る頃には
もう想いが消えていればいい
そう思った。


たいした事は無い。
これは必然的な別れなんだ、
彼とは赤い糸は繋がって
無かったんだから。

もう悠人は、手を離れた。 
私達は友達とすら呼べないほど‥。


    これでいい。




喜代乃は、注がれたワインを
また飲んだ。

もう何杯飲んだんだろうか?
凄くフワフワして
気持ちいい。

命がけの恋では無いが
それ相応の深さはあった。


喜代乃を彼が、なじることで、
悠人への、想いを断ち切らせて
くれた。もっと、めちゃくちゃに
なじればいい。


きっと明日は笑えるかな…







ほろ酔い加減になり会は蒼介さんの
お父様の挨拶でお開きに
なった。











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