キミに夢中な俺‼






「紬大丈夫かい、身体大事に
 シナイとぉ。

 今が一番大事な時期だし。」


  「大丈夫‥
   ふみさん。4カ月になるまで
   我慢したんだから
   彼、頭に来て帰っちゃったケド
   きっと大喜びするっしー。
   待っててくださいね。」

紬は初めて作った自慢のケーキを持ち
タクシーで駅へむかった。

それはもう上機嫌で、
論の喜ぶ姿を思い浮かべながら‥。


久し振りの東京はやはり懐かしく
足早に論のマンションに向かった。

もう夕方になっていて、少し
ソファーで横になった。
ずっと待つも論は帰らず、もしかし
てと思い三田さんに電話してみた。


  「ん、真っ暗だよ。
   誰もきてない
   彼に連絡してみなよ。」

どうやら論はいない様子。
論の会社に連絡してみた。

誰もでなかった。

近くのカフェで、軽い夕食をとり
もしかしたら飲み会か?
何て色々考えた。

喜代乃も、結婚したばかり
咲姫は子供を生んで忙しい毎日
を送っているはずだ。


「ああ、暇だな。
 こんな事ならこの間話しとけば
 良かった。」


ここ何ヶ月かバタバタバタ回りも
忙しく、大変だった‥

妊娠に気づいたのはフミさんだった。
世間一般で言われている悪阻もなく
何ら変わりもなかったが


フミさんは気づいた。

ガツ、ガツ食べてたのが普通になった。
酢の物を要求してきた。

ポン酢をやたらとつかう。
よくうたた寝をしている。

果物をしょっちゅう欲しがる、
まだまだ有るがまあ、
このくらいかな。
と、フミさんは、笑いながら
呟いた。


ベテランの女は凄いと思った。

「ちっ、論のヤロー
 早く帰ってこい!」
紬は、論のマンションでゴロゴロ
しながら論を待つていた。

ビデオを借りて、お気に入りの
SFモノを見る。

1作2作3作ぐらいからソファーで
グッスリ寝てしまった。

気づいたら太陽が登りだした。
シャワーを浴びて、洗濯を回す。
寝室を覗いたら
論はぐっすり寝ていた。

洗濯が終わり
流石におなかも空いた。

論を起こして買い物行くかと、
軽く化粧をして寝室に入った。

   ん?ナンダ?

   論の寝返り打った背中に?
   背中に?手がみえる
   論の肩甲骨をナデナデ?

   枕あたりにフンワリとした
   巻き髪。

   スースース
   すーすーす
ん?どうみても二人分のコーラス。

静かな戦場の後。


こんな時は言い逃れが出来ない程
証拠撮ったがいいんじゃ?

連写
パシャパシャパシャ
初めて使った機能だけど凄いな!!
二人も起きない‥凄いな?
そんなに‥
ああ、そーだ論だからね。
なれてるか、普通か!!


ふらふらふらと寝室を出た。

「あ、あああそだった。
 論の誕生日ケーキ!ケーキ
 ケーキが有ったんだ。」
 テーブルに置いたら

 蝋燭、
 蝋燭、
 蝋燭、

あったーやっぱりながーいのがいい?

   ねぇ、ローンだもんね。

ああ、何か物足りない!
ソッカソッカ、要らないから丁度いい。

HAPPY Birthday 論。
指輪返すコレが誕プレ、包丁に

・・・・・・刺しとくワ‼。


もう、いらない・・・や。


   
     

< 75 / 83 >

この作品をシェア

pagetop