優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
こんな人がコンサートホールでピアノを弾いていたら…

きっと、迫力と繊細さと美しさに、目が離せない…

他の人は目に入らないよ…

絶対。

あまりに綺麗な旋律と、祥太君の真剣さが伝わって、胸が熱くなった。

自然に、涙が出て来た…

祥太君には、ピアノが必要だ…って、心の底から感じた。

『…ありがとう』

弾き終わった祥太君に、拍手をしてお礼を言った。

『…結菜ちゃん、泣いてる?』

『…そりゃ、泣くでしょ、普通』

私は、照れ隠しで言った。

『結菜ちゃんって…ほんとに…可愛い』

祥太君は、自然に私に近づいて…

そして、頭をなでてから、優しく抱きしめた。

そう、私を…

ムギュって…

言葉が出なかった。

あまりに突然過ぎて…

私は、我に返って、祥太君から離れた。

家の中には、旦那も颯君もいるのに…

『…びっくり…した』

『ごめん、ごめんね』

それだけ言って、祥太君は、振り向かずに部屋を出て行った。

祥太君も颯君も…

一体、どうしちゃったのよ…

私もピアノの余韻と、祥太君の感触が残ったまま、部屋を後にした。


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