優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
『私が子どもの頃にね、病気で亡くなったの。優しくて料理が得意な母だった。母が亡くなってからは、父がお母さん代わり。お手伝いさんもいてね、料理を教わったりして…いつの間にか料理が趣味みたいになったわ』

『結菜さんの料理、なんでも美味しいです』

『本当に?ありがとう。一応、調理師と栄養士の資格も取って。いつか、料理を振る舞う職業に着けたらいいなって思ってたんだ。だから、文都君にそう言ってもらえて、嬉しい』

話してるうちに、文都君も食事が済んだ。

部屋に戻ろうとして、文都君は、一瞬立ち止まって私に言った。

『これ…帰りに買いました。良かったら…食べて下さい』

私は、それを受け取って、袋の中を見た。

『クッキーだ。美味しそう』

文都君は照れたように微笑んで、キッチンを出ようとした。

『ありがとう』

私は、文都君の後ろ姿に向かってお礼を言った。

そしたら、文都君は、ただ、コクってうなづいて…

振り向かずに出て行った。
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