Campus Love~学内恋愛~
「さて、以前にも質問したけど、倉科はどうしてY大に来ようと思ったんだい? 東京なら、もっと有名な大学の文学部とか、他にたくさん進路があっただろうに」。



「そうですね、報道アナウンサーになるなら、都内の大学は魅力的でしたけど、私立大学は学費の面で難しかったですし、国立大学の文学部にはあまり自分が学びたいコースがなくて、地方のY大の情報をインターネットで見て決めました」。



「もちろん、高校三年生の時に先生の本を読ませていただいたのと、母方の祖母がこちらの出身だったということも、大きな原因です」。



「僕の本を読んで、この大学を選んでくれたのはとてもうれしいけれど、東京にいるおばあちゃんは、君がこっちに来て、寂しがってないかい?」。



「はい、たしかに寂しがってます。ですので、できるだけ東京に帰省するようにはしています。ただ逆に、おばあちゃんの方がお墓参りとかでこちらに帰省することもありますよ」。



「おばあちゃんのこと大切にしてあげなさいよ。数少ない身内だからね」。



「はい、もちろんです」。



「じゃあ、君は、卒業したら東京へ戻るんだね?」。



「そのつもりです」。



その言葉を聞いて、ユウキはちょっと残念な気がした。



4年後に彼女と離れてしまうことは、もちろんだが、この子は優秀な学生なので、大学院に進学しても十分にやっていけそうだと思ったからだ。
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