夏に消えた彼女

それから僕らはよく会うようになった。



連絡先を交換したわけじゃないのに、何処かしらで遭遇する。



ある時は街で、ある時はコンビニで、ある時は道端で。




会う度に彼女は「もしかして、運命?」なんて笑いながら駆け寄ってくる。




遭遇する時、彼女はいつも白いワンピースに麦わら帽子を被っていた。




「その格好、好きなの?」、遭遇する時にいつもその格好をしているから聞いてみた。





「うん。白は何色にでも染まれるから好きなの」




彼女はそう言った。




僕はそう言った彼女の顔が何処か悲しげに見えて、聞いたことを後悔した。




後悔を誤魔化すように、「そうなんだ……。似合ってるよ」と言えば、彼女は「ありがとー」と花が咲いたような笑顔が浮かべる。




──この笑顔が何度も見たいと思った。





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