天使とエナ
天使とエナ
エナには生まれつき羽根がありませんでした。
もちろん、それでは空を飛ぶこともできるはずがありません。
それでもエナは青い空を見上げては、遠く遠く、ずっと彼方まで飛んでいきたいと切に願っていました。
「どうして周りの人ができることを私はできないんだろう……」
エナは1人悩んでは涙を零し、俯いたまま唇を噛みしめるのでした。

そして今日も、いつものように窓から空を眺めていました。
すると仲間の1人が声をかけて来たのです。

「そんなに空飛びたいんなら応援してあげる」

ニコニコと笑う彼を見て1つのことに気がつきました。
エナはいつも空を見上げ、飛びたいと願うばかりで、行動に移したことは一度もありません。
行動しなければ何事も成功することはないのです。
それに気づいたエナは、「私が空を飛べないのは勇気がないからだ」という結論をだしました。
みんなに応援してもらえたなら…勇気をもらうことができたなら、空を飛ぶこともできるかもしれない。
エナの瞳からは大粒の涙が溢れました。そしてぼやけた視界のまま覚悟を決めたのでした。


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