死んでもいい__。
第1章
僕は、今日から高校生になった。
白いブレザーに黒のズボン、薄水色のシャツに紺のネクタイという、ここらへんでは人気のある制服を身に纏い、清涼高校の門をくぐった。
女子の制服もこれに、ズボンが紺と黒のチェックのスカートになるだけだから、女子は制服目当てで来る子も多い。
だけど、僕は別にこの制服に惹かれて来たわけじゃない。
というより、僕はこの高校を第1志望の高校にはしていなかった。
本当はここよりももっと、偏差値が高くて大学進学率ほぼ100%の高校を志望していた。
だけど、試験当日に熱を出してしまい、意識が朦朧とするなか受けたテストはもちろん、不合格となった。
そして、すべり止めとして受けていたこの高校に来ることになったのだ。
両親は「しょうがない。十分頑張った」と慰めてくれたけど、僕は正直悔しかった。
体調管理が出来ていなかったのは自業自得だけどなんであのタイミングだったんだとムカついた。
だから今、新入生を歓迎するかのように僕の頭上で降っている桜の雨にさえ気分が沈んでしまう。
とりあえず、体育館前に張り出してあるクラス表を見に行こうと、体育館前に来たはいいが、
たくさんの新入生でごった返していて、とても見れそうになかった。
しかし、教室入室終了時刻まであと10分。
僕はどうにか、人混みの中に入り込み、
やっとの思いでクラス表を見ることができた。
どうやら僕は、1ーCらしい。
周りを見るとみんな、中学の友達と来ているらしく、キャーキャー友達と抱き合っている。
僕の中学からここに来たのは僕だけだからあんなふうに喜べる友達もいない。
僕の場合、いたとしてもあんなことしないが。
僕が人混みの中から抜け出した時、ちょうど余鈴がなった。
みんな、余鈴に気づき一斉に生徒玄関へと向かっていった。
僕も向かおうと、歩き出した矢先、
ドンッ
背中に衝撃が走った。
「っ!」
僕が声にならない悲鳴を上げていると、
「わあ!ごめんなさい!」
後ろから女の子の声が聞こえた。
振り向くと清涼の制服を着た、ポニーテールの女の子が頭を下げていた。
「いや、大丈夫だ…です。」
先輩だったら悪いと思い、とっさに敬語に直したけど取ってつけたような敬語になってしまった。
しかし、相手は気にしていないらしく、
「ホントにごめんね〜」
と、生徒玄関の方に駆け出して行った。
騒がしい人だったな…と思いながら、僕も彼女の後を追うように生徒玄関へ向かった。