死んでもいい__。
「今日からお前らの担任になる、斎藤 悠だ。
これから1年間、よろしく。」
退屈な入学式も無事終わり、高校生活最初のLHRが始まった。
僕のクラスの担任は若い男の先生だった。
20代後半くらいだと思う。
「基本、俺は放任主義だけど高校生としてのモラルはちゃんと守るように。」
どうやら、熱血系の先生ではないらしい。
僕は少し、ホッとした。
スポーツ系の熱血教師はあまり好きではない。
僕としては、当たりだなと思った。
「それじゃあ、今からはおまえらに自己紹介をしてもらう。適当に出席番号順でいいだろ。1番の赤井から、よろしく。」
1番大嫌いな時間がきた。
自分のことをわざわざみんなの前で話すなんて僕には理解できない。
名前だけ言えばいいじゃないかと、僕は思う。
好きなものとか、得意なことを言ったところで一体何になるんだ。
早く終わらせようと僕は、名前と出身中学だけ言って席に着いた。
前のやつらが色々言っていたせいで、周りからは
「え?それだけ?」
という目で見られた。
後ろの席にいたやつからも、
「なんか他にもっと言えよ」
と、背中をつつかれたが僕はお構い無しだ。
つついてきたやつは、なんか長かった。
名前さえも聞いていなかったから何を言っていたのかは知らないけど、多分、席を立っていた時間が今までで1番長かった気がする。
よくそんなに話せるなと思った。
僕は最初のほうだったから、自分の番が終わると後からだんだん眠くなってきて、睡魔とたたかうのもめんどくさくなり、意識を手放した。