死んでもいい__。




バシンッ

背中に衝撃が走り、目を覚ました。

なんかデジャヴ…と思いながら、後ろを振り向くと、

「よう!おはよう!」

自己紹介の時に背中を突いてきたやつが立っていた。なぜか、やたらニコニコしながら。

「もうLHR終わったぞ?お前、自分の番が終わったらすぐ寝てただろ。後ろから見てたんだからなー?」

後ろから見てたって…

「ストーカー?」

おっと。思わず心の声が出てきてしまった。

でも、そんなこと言われたら誰だって、少し気味が悪いはずだ。

「おい、失礼なこと言うなよ」

「ごめん。えっと…だれ?」

「はあ?おまえなぁ…さっき自己紹介しただろ?ちゃんと聞いとけよな。」

なせが呆れられた。

別に他人の自己紹介を聞こうが、聞きまいが人の勝手だと思うが。

それに、

「そういう君こそ、さっきから僕のこと〝お前〟としか言ってないじゃないか。」

決して屁理屈を言っているわけではない。

ちゃんとした反論だ。

僕の言葉を聞いたこいつは、なぜかいきなりドヤ顔になり、

「フッフッフッ。残念だったな。俺はちゃんと聞いていたんだよ、時雨 温人くん。」

正直、気持ち悪いと思った。

僕の中でのこいつは、〝うるさくて、変なやつ〟となった。

「それはどうも。聞いてもらえて嬉しいよ。」

「お前、絶対思ってないな。ちなみに俺の名前は瀬名 凜だ。」

「瀬名…変な苗字だな。」

俺の苗字も珍しいとは思うが、瀬名の苗字も中々珍しいと思った。

「俺は、時雨の方が変だと思うけどな。なあ、なんて呼んだらいい?」

「別に。適当でいいよ」

「ふーん。じゃあ、〝温人〟な!」

「どうぞ、ご勝手に。」

彼には、軽くあしらったけど、
家族以外から名前で呼び捨てされるのは初めてだった。

だから少し、照れくさいような気がした。






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