この結婚の行方は・・

はぁ・・もういいんだけどな・・

と、思いながら
彼の前の椅子に座る
「・・・・・・・」
私が座ると一瞥しただけで
なにも語らずに冷たい眼差しの
男に‥‥‥
「はぁっ、あなたが呼び出したの
だから、何か用があったのでしょう?」
と、言うと

彼は・・

「・・・俺と・・結婚してほしい。」
と、言った。
「なっ?なんで、そうなるの?
     嫌よ。」

やっと、言葉を出したと
思えば・・この人、何を考えてるのだろうか
と思っていると・・・

「俺だって・・」
「なんなの?いったい
歯切れの悪い、はっきり言えば!!」
「嫌なのは、同じだ。
だが、結婚すると決めた。
お前が嫌だと拒否するなら
お前の大切な人の病院を潰す」
と、冷たい視線を向けて語る男

いま、結婚の話をしている
二人とは、到底思える状態ではない。

「嫌なら、どうして自分の力で
説得しないの?
どうして、丈太郎を巻き込むの?
やり方が、あまりにも汚いわ!!」
「なんと、言われても・・
かまわない!!
お前は、安田財閥をわかっているはず
安田が本当に動けば
総合病院など、一溜りもないこと。
わかっているだろう!!
お前は黙って従っえばいいんだよ!!」

なんて、勝手な男なの?
なんなの?いったい・・この人は・・

でも・・・・安田を敵に回すのは
得策でないことは、わかってる
私が、黙っていることに
理解していると思ったようで
男は更に・・・・

「式はひと月後だ。
住まいは用意した。
明日には、そこに移ってこい。
それと
俺の私生活には干渉するな
俺もお前の私生活には干渉しない。
ただ、仕事に関する事には
妻としての役を果たせ。」
「どこまでも、失礼な人ね
そんな事に応じると?」
「応じる?応じないではなく
決まった事だ!!
お前が逃げたら
相澤総合病院は、なくなり
お前の大好きな
古河の奥様にも
償ってもらうことになるが!!」
「なにっ、おばあ様には、手をださいで。」
「なら、従うことだ。」
「あなたは、それでよいの?
それに、あなたの京都の大切な人は、
納得してるの?」
今までは、表情を変えることなく
話していた男の顔が苦しそうになり
「お前が季織の事を口にするな!!」
と、椅子から立ち上がり
怒鳴った。

「なっ、なんなの?
自分も自分の大切な人も
納得もしてないくせに
自分の関係ない人間を巻き込んで
脅すなんて・・・

安田を統括する社長が
聞いて飽きれるわ

あなたが、私の大切な人に
何かしたら、私もただでは
すまさないから。
覚えておいて。

新しい家の住所は、
そちらの安東さんから
私に連絡を。

そして、今話した内容を書面で
書いて私へ
それを確認したら
新しい家に移ります。

これ以上、ここにいる必要は
ないので帰ります。」
と、言ってホテルを後にした。
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