BadをHappyに!?〜おとぎ話の世界に閉じ込められちゃった〜
シャーロットは一生懸命働く使用人たちを、魔法を使って手伝う。

そして、まだ太陽が高い空に向かって叫んだ。

「クロノス!」

その刹那、空の動きが急に早くなった。使用人たちの動きも、テレビで早送りを押した時のように、素早くなる。夜まで待ちきれなかったのだ。

時間を早くする魔法だ。あっという間に日はくれ、夜になる。

「シャーロット!!」

ぞろぞろとやって来る招かれたお客を見つめていたシャーロットの肩を、ドロシーがポンと叩く。

「せっかくのパーティーだし、お腹空いちゃったからご飯食べていい?」

ドロシーはグルグルと音を立てるお腹を押さえながら言った。

「本の世界の食べ物って、口にできるものなのかしら…」

そう首をひねるシャーロットに、ドロシーはよだれを垂らしながら、「ほら!すごくおいしそうだよ〜!!」と目を輝かせる。そして、勝手にパーティー会場に行き料理をつまみ出した。どうやら、口にできるらしい。

豪華な銀のドレスを着たシンデレラは、王子様と踊っている。そして十二時の鐘が鳴る前に、シンデレラはお城を後にした。

「う〜ん!ステーキおいしかったぁ」

満足そうに微笑みながら、ドロシーはデザートとして出されているスイーツをまだ食べていた。それにシャーロットは苦笑してしまう。

そして、次の日の夜、シンデレラは金のドレスでお城に姿を見せた。王子様は真っ先にシンデレラの手を引き、踊る。しかし、この日は踊っている時に鐘が鳴ってしまった。

シンデレラは急いで階段を駆け下りる。タールは塗られていない。王子様は優しい人になっているから。

「キヴィ!」

ドロシーが叫ぶと、走っているシンデレラの靴が脱げた。

「やっぱりこうでないとね!」
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