BadをHappyに!?〜おとぎ話の世界に閉じ込められちゃった〜
どれほど戦ったのだろう。シャーロットは疲れ切っていた。ドロシーも大きく肩を上下させている。

二人は、ヴィルヘルムの放った捕らえる魔法を避けることができず、拘束されてしまった。柱に縛り付けられ、拘束から逃れようともがけばもがくほど、ギリギリと縄は二人を締め付ける。

「さて、私たちの勝ちだな」

「やったね!兄さん!」

ヤーコプとヴィルヘルムが喜んで抱き合う。白雪姫の物語からまた始まるのか、とシャーロットは魔法で破壊されぼろぼろになった天井を見上げた。

「シャーロット、ごめん…」

ドロシーの声に、シャーロットは隣を見る。そこには申し訳なさそうな顔のドロシーがいる。

「私が魔法で全てを変えようって言ったからこんなことに…。残酷なショーを我慢して見てれば、きっと時間をこんなことで無駄にはしなかった…」

ドロシーの目から、涙がこぼれた。シャーロットは微笑んで、「そんなことないわ」と静かに言う。

「最初から最後まで幸せの物語に変えるの、楽しかったもの」

この拘束から逃れることも、現実に帰ることもできない。なら歩む道は一つ。もう一度物語を始めることだ。

そう二人が覚悟した刹那、真っ白な光が現れ、シャーロットとドロシーを包む。

その温かさに、シャーロットは意識を手放した。
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