BadをHappyに!?〜おとぎ話の世界に閉じ込められちゃった〜
シャーロットは静かにそう言った。白雪は少し安心したような表情で二人を見つめている。シャーロットは「白雪、もう大丈夫よ」と笑いかけた。

「先生を呼んでくる!私たちが立派な証人になるさ!」

ドロシーがそう言った刹那、「……甘いんだよ」と男子が呟く。

「ケリョーネー!」

男子が二人に魔法をかける。油断していたシャーロットたちは、魔法を避けることさえできなかった。白い光が二人を包む。そして、本にシャーロットたちの体が吸い込まれていった。

「シャーロット!ドロシー!」

「きゃあああああ!!」

白雪の叫び声が、本に吸い込まれていく二人の耳に届いた。



二人は、不思議の国のアリスでアリスがウサギの穴に落ちていくように、闇の中を転がっていく。そして、光が見えた刹那、体が地面に叩きつけられた。

「痛ったぁ…」

シャーロットとドロシーは打ってしまったところをさする。そして、目の前に広がっている景色に驚いた。

目の前には、大きな立派なお城があった。鳥たちが屋根に止まって美しい歌声を聞かせている。

「すごい!お城だ!私たち、一体何の魔法をかけられたんだろう?」

お城を見てはしゃぐドロシーに、シャーロットは落ち着いた口調で説明する。

「さっきのは、人を身近にある物体に閉じ込める魔法よ。私たちは本の中に閉じ込められたんだわ」

「抜け出すことはできないの?早く戻らないと白雪が……」

邪魔者がいなくなり、白雪が何をされているかわからない。しかし……。

「無理よ。この本の最後のページまで進まないと、この世界から抜けることはできない」

魔法は、人間の生み出すものと同じように完璧なものではないのだ。
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