BadをHappyに!?〜おとぎ話の世界に閉じ込められちゃった〜
「ええっ!?じゃあ、この本ってページはどれくらいあるんだい?」

「あの男のことだから、分厚い本に私たちを閉じ込めたはずよ」

「まあ、あいつの性格がクソみたいに悪いのは、さっきの出来事でよ〜くわかったよ!」

シャーロットは何の本に閉じ込められたのかを知るため、真実を知る魔法を使うことにした。

「ジェンシー!」

すると、一冊の本が空中から落ちてくる。ドロシーがそれを受け止めた。

赤い表紙には、黒い狼の絵が描かれている。そのタイトルをドロシーが読んだ。

「グリム童話集だってさ」

グリム童話と聞いて、シャーロットはめまいを覚えた。

「最悪よ…。よりによってグリム童話だなんて……」

「シャーロット、グリム童話がどうしたのさ」

ため息をつくシャーロットに、のん気にドロシーは笑いかける。シャーロットは説明を始めた。

グリム童話とは、ドイツの学者である兄のヤーコプと、弟のヴィルヘルムが人々から聞いた話をまとめて出来上がったもの。初めて出版された時は、ドイツ民俗学の貴重な資料になったものの、内容が子ども向けではなかったため、修正に修正を重ねて今のグリム童話になった。

「内容が子ども向けじゃないってどういうこと?」

「子どもが読むにしてはいやらしすぎたり、残酷すぎたりしたのよ」

「ええ〜…。今の童話ってかなりふわふわしてるんだけどなぁ」

「童話を書いたのは、グリム兄弟だけじゃないのよ。フランスのシャルル・ペローがまとめたものはペロー童話と呼ばれているわ。人魚姫などはアンデルセンが書いたから、アンデルセン童話と言われているのよ」

そんなことを話していると、「お姉さんたち、誰?」と後ろから話しかけられ、二人は振り向く。そこには、美しいドレスを着た小さな女の子がいた。
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