学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です


「あの…うん……乗ってたよ」

『やっぱりっ。 俺たちうるさかったですよねっ、ごめんなさいっ。 いやー、まさか円くんたちと電車で会うなんて思ってなくて、はしゃぎすぎちゃいましたっ』

「……そっか。 早乙女さんにも聞いてたけど、マルたちに会ったのは、本当に偶然だったんだね」


『そりゃあ偶然ですよー。 それ以外に何かあります?』

「……ううんっ、普通はないよねっ」

『えぇ、ありませんっ』



グッジョブ、和真。

事前に話を合わせる時間なんてなかったけど、私がついた嘘にドンピシャで重ねてくる辺り、さすがだ。


……予鈴の時間がだいぶ近づいてきた。

話を切り上げるなら、今このタイミングだ。



「……ねぇ、そろそろ予鈴鳴りそうだし、電話返してもらっていいかな? 私の話に嘘がない…って、もうわかったでしょ?」

「あっ……うん、そうだねっ。 ありがとう早乙女さんっ。 和真くんもありがとうっ」



本当に、さっきまでの敵意はどこに行ったのやら。

3人はニコニコしながら私に携帯を返してきた。



「……和真、時間ないのにごめんね。 ありがとう」

『いいよ、大丈夫。 あぁでも、もうちょっとさっきのお姉さんたちと話してもいいかな?』

「えっ?」


『すぐ終わるから』

「う、うん……」

< 104 / 259 >

この作品をシェア

pagetop