学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「あの…うん……乗ってたよ」
『やっぱりっ。 俺たちうるさかったですよねっ、ごめんなさいっ。 いやー、まさか円くんたちと電車で会うなんて思ってなくて、はしゃぎすぎちゃいましたっ』
「……そっか。 早乙女さんにも聞いてたけど、マルたちに会ったのは、本当に偶然だったんだね」
『そりゃあ偶然ですよー。 それ以外に何かあります?』
「……ううんっ、普通はないよねっ」
『えぇ、ありませんっ』
グッジョブ、和真。
事前に話を合わせる時間なんてなかったけど、私がついた嘘にドンピシャで重ねてくる辺り、さすがだ。
……予鈴の時間がだいぶ近づいてきた。
話を切り上げるなら、今このタイミングだ。
「……ねぇ、そろそろ予鈴鳴りそうだし、電話返してもらっていいかな? 私の話に嘘がない…って、もうわかったでしょ?」
「あっ……うん、そうだねっ。 ありがとう早乙女さんっ。 和真くんもありがとうっ」
本当に、さっきまでの敵意はどこに行ったのやら。
3人はニコニコしながら私に携帯を返してきた。
「……和真、時間ないのにごめんね。 ありがとう」
『いいよ、大丈夫。 あぁでも、もうちょっとさっきのお姉さんたちと話してもいいかな?』
「えっ?」
『すぐ終わるから』
「う、うん……」