学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
いったい、彼女たちと何を話すつもりだろう。
いいタイミングで話を終わらせられると思ったんだけど……このあと、変なこと言ったりしない…よね……?
不安を感じながら、真ん中の女子に再び携帯を渡す。
和真は、彼女たちに向けて すぐに声を発した。
さっきよりも少しだけ、声のトーンを落としながら。
『盗撮は犯罪なんで、電車内で撮った写真は消しといてくださいね?』
「え……」
『お姉さんたちがこっちを見てたように、俺もお姉さんたちを見てたので。 音はしなかったから、使ったのは無音カメラのアプリかな?』
女子たちの顔から血の気が引いていく。
さっき私が指摘した時は、意にも介さなかったのに。
『シャッター音が鳴らなくても、写真を撮ってる人の持ち方って やっぱり他とは違うんですよね。 注意して見ていればすぐにわかりますよ』
「……」
『円くんもトラくんもカッコイイから、撮りたいって気持ちは理解出来ます。 だけど隠し撮りはしないでください』
……写真を撮ることが好きな和真だからこそ気づいたんだろうな。
私なんて、携帯の持ち方だけじゃ写真を撮ってるかどうかなんて気づかないと思う。
凄いな、本当に。