学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「……わかった、もう美麗のことは探さない。 リアルで会いたいけど、嫌われたくないし……」
「うん、私も美麗探しはしない。 ファンだからこそ探さないよ」
「……あぁ、そうだな」
よし。
なんとか大丈夫そうだ。
まったく、和真の奴…こんな面倒なことを引き起こして……帰ったら文句言っとかなきゃ。
「リアルで会うのは、もっと仲良くなってからにする。 だから俺、美麗に顔写真を送るよ」
「うんうん、その方が……って、えぇっ!?」
「俺のことをもっと知ってもらって、美麗がリアルで会いたいって思った時に会う。 うん、それならきっと大丈夫だ」
……嘘でしょ……。
まさか、そんな考えに至るとは……。
「よっし、思い立ったが吉日だっ。 ニセ美麗っ、アドバイス サンキュー!!」
「ちょ、ちょっと……!!」
「俺 教室に戻るわっ、じゃあなー!!」
……行っちゃった。
さっきの伊勢谷くんもだけど、時雨くんもまた、走るのが速すぎる……。
「……ハァ。 時雨くんって、超絶イケメンじゃなくて超絶馬鹿だ……」
深く深く息を吐いたあと、私も教室に戻るため歩き出した。
ネット上で唐草 美麗と名乗ってる弟 和真が、時雨くんと余計なやり取りをしないことを祈りながら……。