学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
俺が話すとグダグダと別の話ばっかりになりそうだから、トラ本人に説明させることにした。
携帯を耳から外し、トラへと手渡す。
トラは相変わらずの柔らかな笑みで携帯を受け取ったあと、すぐに話を始めた。
「もしもし、美麗さん? 急にごめんね。 DMで連絡を取るよりも早いなと思って、マルに電話してもらったんだ。 俺も美麗さんの番号とメアドを登録したいんだけど、いいかな?」
距離があるから 電話の向こうの声は聞こえてこない。
それでも、なんとなく聞こえてくる美麗の声は……俺と喋ってる時よりも少しだけ明るいもの…のような気がした。
「よかった、ありがとう。 マル経由で聞いとくから、あとで連絡するね。 うん、じゃあまたね」
と言ったあと、トラはそのまま電話を切った。
「……お前、なんで勝手に切ってんだよー……」
「あぁごめん、普通に切っちゃったや。 かけ直す?」
「……なんも用事がねぇのに かけてどうすんだよ。 ちぇっ…俺が「またな」って言いたかったのに」
「ごめんごめん」
「……まぁいいや。 なんとなく聞こえてたけど、俺が美麗の番号とメアドをトラに送ればいいんだよな?」
「うん、よろしく」