学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
美麗はニコッと笑ったあと、窓の外を見始めた。
その横顔を見つつ、俺はカバンに入れていたペットボトルのお茶を口に含んだ。
これから約1時間30分……電車での旅となる。
森林公園へは何度か行ってるから、道順は大丈夫だ。
人の来ない穴場のスポットも知っている。
今1番心配なのは……やっぱり電車の中…かな。
今のところ、他の乗客が俺たちを気にしてる様子はない。
だけどこれから先…乗客が増えた時はどうなるだろう?
男2女1という組み合わせは、きっと目立つよな……。
1対1ならカップルに思われて、それ以上の詮索はない…と思う。
それが2対1となると……やっぱり注目の的になるはずだ。
……その場合は、通路側に居る俺が立つべきだろうな。
美麗と和真をカップルに思わせ、俺は他人を演じる。
きっとそれが1番 楽でいい方法だ。
「……美麗。 乗客が増えてきて、もしも注目されるようだったら…俺が席を立つよ」
“もしも”なんて訪れなければいい。
そう願いながらも、念のためにと話をしておく。
美麗はどこか申し訳なさそうな顔をしたけれど、口を一文字に結んで小さく頷いた。
「俺が離れても、美麗は和真と一緒に行動を……って、おいおい。 和真の奴 普通に寝てるじゃん」