学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
窓に体を預け、無防備な顔で寝息を立てている。
……どこが「全然眠くないから大丈夫」なんだよ。
むしろ寝つきが良すぎて羨ましいっつーの。
「まったく……。 まぁいいいや、和真は放っておこう」
眠ってるのをわざわざ起こす必要はないし、起こしてまで言うような話でもない。
だから今は、静かに眠らせておくことにした。
「……美麗も、眠くなったら寝ていいからな?」
「うん。 マルも眠い時は寝なよ?」
「俺は大丈夫、ペース配分完璧だから」
「とか言いながら、写真撮るのに熱中しすぎて 帰りはダウンしてそうな気がするなぁ」
「あはは、確かに。 まぁ、その時はその時だよ」
乗客は少ないけれど、騒がないようにと気をつけながら小声で話す。
美麗も俺に合わせるように小声で話し、笑顔も心なしか控え目だった。
「……そういえばさ、今日…なんで一緒に行くのをオッケーしてくれたんだ?」
絶対に「行かない」と言われると思ってた。
だけど美麗は今、俺のそばに居る。
何か理由があるのかな? と思って訊ねると……、
「それはね、写真馬鹿のマルと和真だけじゃ心配だったからだよ」
「……えぇー……」
「トラくんが来られないのなら、私が行くしかないでしょ?」
……俺と和真をどんな目で見てるんだよ。 というような理由で、美麗は一緒に来たらしい。