学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です


【 早乙女 美麗side 】


………

……




マルと二人で、森林公園の中をゆっくりと歩く。

近くには誰も居ない。

だから私は安心してマルの隣に並ぶことが出来ていた。


携帯のカメラを構えたマルは、真剣な顔でシャッターを切り始めた。

……かと思えば、出来上がった写真を私に見せながら 子供っぽく笑ってみたり。

「ブレた」と言ってビックリするほどヘコんでみたり。

忙しなくコロコロと変わる表情が なんだか面白くて、私は自然と笑顔になっていた。


あぁ……楽しいなぁ。

こんな風に二人でのんびりと過ごせる時間が来るなんて、思ってもいなかった。

本当に楽しいし……幸せだ。


真剣な顔も、笑った顔も、ヘコんだ顔も、全部…好き。

最初はマルのこと嫌いだったのに、今は好き。 大好きになっていた。



「美麗、次は向こうに行ってみようか」

「うん」



名前で呼ばれるのも、今は凄く嬉しい。

他に誰も居なければ…だけどね。


ううん、本当は……みんなが居る前でも呼ばれたい。

みんなが居る場所でも笑って話したい。

そばに居たい。

ずっとずっと…マルの隣に居られたらいいのにな……。

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