学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
……それから1分くらい経った時、10キロの米袋を持ったマルが戻ってきた。
「悪い、母親が帰ってきた。 でもすぐにまた出かけるみたいだから、ちょっとここで待ってて」
「あっ…うんっ……」
マルの…お母さん……。
声はとても明るい感じだったけど、どんな人なんだろう?
……ていうか私、挨拶とか…しなくていいのかな……?
「マル、あのっ…私、お母さんに挨拶した方がいいよねっ……?」
「え? いや、あー…うん……」
えぇ……なんか、とてつもなく面倒臭そうな顔をしてるのですが……。
「……ハァ。 まぁ、いずれは会うことになるだろうし……会うなら早い方がいいかもな。 呼んでくるから少し待ってて」
「う、うん……」
……マルは、大きなため息と共に眉間にシワを寄せた。
その顔のまま米袋をキッチンへと運ぶ。
それが終わったあと、マルは再び玄関へと駆けていった。
「母さん、ちょっと会ってもらいたい人が居るんだけど」
「あらそうっ? じゃあ挨拶しとくから、その間に車から荷物下ろしといてねー」
「……いや「挨拶しとく」じゃないから。 普通に俺が紹介するっつーの」
「大丈夫よ、ほらほら車に行って行って。 よろしくねー」
「ちょっ…母さんっ」
バタンッ
ガチャッ
と、玄関のドア…そして鍵が閉まる音がした。