学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「なーんだ、何もないの? アンタ意気地無しねぇ」
「……クッソうぜぇ。 いいから早く出かけろよ……」
「あっ、そうね早く行かなくちゃっ。 美麗ちゃんっ、また遊びに来てねーっ」
ニコニコしながら手を振ったお母さんは、風のように去っていった。
「あっ、買ってきたやつ玄関に置いとくから片付けよろしくーっ」
……という言葉を残して。
「……ハァ」
また、あからさまに大きなため息が聞こえる。
でもごめん…そのため息に、すっごく共感しちゃいました……。
「まぁ…うん……うちの母親、常にあんな感じだからさ、出来れば会わせたくなかったんだ」
「あはは……」
「マジでごめんな。 母さんに、変なこと言われてない?」
「大丈夫だよ。 マルってお母さん似なんだね、笑った顔が瓜二つだったからビックリしちゃった」
「あー……うん、よく言われる。 不本意極まりないけどな」
そう言いながら、マルは再び廊下へと向かった。
お母さんに一方的に頼まれた荷物を片付けるためだ。 ということがわかっていたから、手伝うために一緒に歩き出した。