学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「……すげー疲れた。 なんか甘いものが食べたい。 つーことで、ちょっと買いに行ってくるから待ってて」
「えっ? どこ行くの?」
「近所のケーキ屋。 10分で戻る」
「あっ……」
ソファーから立ち上がったマルは、私の頭をポンと叩いたあと 玄関へと駆けていった。
……えぇ……。
そろそろ帰るつもりが、まさか一人で残されるなんて……。
「……うーん……。 まぁ、いいか……」
勝手に帰るわけにはいかないもんね。
マルが戻ってくるまで おとなしく留守番していよう。
「10分で戻る…って言ってたっけ。 じゃあ、その間にまた写真を見てようかな」
テーブルに置いたままになっていたアルバムの1つを手に取る。
次に取ったアルバムには、住宅街で撮られたものがたくさんあった。
車が入れないような細い路地、軒先に咲くツバキの花、新緑が眩しい並木道、日向ぼっこする猫、夕方の公園……などなど。
SNSには載せていないものばかりだ。
……とても綺麗。
やっぱりマルの写真、好きだなぁ……。
と しみじみ思いながら、次のページを開く。
「あっ」
そこに貼られていたのは、私のよく知る人物……弟、和真の写真だった。