学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「人間の記憶って、時間が経てば経つほどに曖昧になっていくんだよ。 だから俺は 大切な奴の写真は全部残してる。 時間が経って忘れてしまったことでも、写真を見れば すぐに思い出すことが出来るだろ?」
「……うん……」
「別にさ、「唐草 美麗」だからって残してるわけじゃないんだよ。 ここにある写真は全部、大切な思い出を思い出すためにあるんだ」
「……う゛んっ……」
「あーもう、泣くなって。 不安にさせてごめん」
両手を広げたマルが、私の体をすっぽりと包み込んだ。
「俺が好きなのは美麗だよ。 今 目の前に居るお前が好きなんだ」
「あり…がとう……」
「うん。 ……ということでっ、これから先はガンガン美麗のことを撮るからなっ? だって思い出の写真がこれだけなんて、さすがに寂しすぎるじゃん?」
小さい子供のような、無邪気な笑顔。
マルの笑顔を見ていると 不安が少しずつ溶けて無くなっていく。
だから私は大きく大きく頷いた。
涙が溢れ、頬を濡らしながらも……満面の笑みで。