学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「美麗さん。 1時間くらいかかるだろうけど、あとで菜乃葉が来るよ」
雑誌を読んで待っていた美麗さんに声をかけると、すぐに嬉しそうな笑みが返ってきた。
「トラくん、電話してくれてありがとうっ」
「どういたしまして」
「急いで買って戻ろっ。 マルたちに言っておかなくちゃっ」
「うん」
美麗さんの声は、さっきの菜乃葉と同じように弾んでいる。
とても嬉しそうな顔だ。
「スイーツ食べ放題も みんなで一緒に行こうねっ」
無邪気な声と、屈託のない笑顔。
可愛いな。
と、当たり前のように思う。
それと同時に、彼女に触れたい。 頭を撫でたい。 という衝動に駆られた。
もちろん、実際にするつもりはないけどね。
でもきっと……マルはこういう感じで美麗さんを好きになっていったんだろうな。
屈託のない笑顔や、明るい声。
学校だと面倒臭そうな顔をすることが多いのに、今は無邪気で どこか子供っぽい。
言葉を交わせば交わすほどに 彼女の印象は変わっていく。
あまり話す機会のなかった俺ですら 瞬間的に「可愛いな」と思ってしまったのだから、一緒に居る時間が長かったマルは 相当ヤバかっただろうな。
……「唐草 美麗」の時のように 想いが暴走しなくて、本当によかったよ……。