学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
「トラくん? どうかした?」
「……ん? あぁいや、なんでもないよ」
「大丈夫? もしかして具合悪い?」
「全然大丈夫。 心配ないよ」
黙りこくっていた俺を心配して、美麗さんが顔を覗き込む。
それを笑顔で受け流しながら、数本の飲み物をカゴへと入れた。
「さ、急いで会計を済ませよう。 あんまり遅くなると、心配したマルがコンビニに突撃して来そうだからね」
「あはは、そんなことないんじゃない? だってマル、写真を撮り始めたら周りなんて見えないもん」
「……いやぁ、美麗さんのことだと別でしょ。 ほら、ダッシュで来てるし」
「えっ? あ、ほんとに来てるっ……!!」
猛スピードで駆けてきたマルが、コンビニの窓に映った…と思ったら、2秒も立たないうちに店内へと入ってきた。
「お前ら飲み物買うだけで何分かかるんだよっ」
「あぁマル、ちょうどよかった。 ここの支払いよろしくね」
「……はぁっ?」
「相談も何もせずに 俺に彼女が居ると美麗さんに話した罰。 会 計 よ ろ し く ね ?」
「……あ、はい、了解しました……」
本当は蹴りを食らわすつもりだったけど、さすがに店内では出来ない。
今はまぁ…これでいい。
俺の言葉を受けたマルは、しょんぼりしながらカゴをレジへと運んでいった。