学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です


「……っと、もうそろそろ電車が来る時間だな」



たくさんメールで話したら、本当に30分が あっという間に過ぎた。

文字入力で酷使した指を ブラブラと揺らしたり、開いたり閉じたりを繰り返す。

そうやってるうちに、ホームに電車が滑り込んできた。


電車から降りてきたのは、ほんの数人だ。

菜乃葉は……1番最後に改札を抜けてやって来た。




「菜乃葉」



名前を呼んで ひらひらと手を振ると、菜乃葉は小さく手を振り返してきた。

ゆっくりと近づいていくと、菜乃葉はペコリと頭を下げながら微笑んだ。



「文字入力、お疲れ様でした」

「ふふっ…菜乃葉も、遠いところ お疲れ様」

「うん。 国虎くん一人? マルくんたちは?」


「川の近くで写真を撮ってると思う。 案内するよ」



そっと手を伸ばすと、菜乃葉はすぐに自分の手を重ねてきた。

なんだかんだで……こうやって手を繋ぐのは久しぶりだ。



「うわぁ、手を繋ぐなんて久しぶりだね」

「うん、俺も思ってた。 そういえば世の中には 恋人繋ぎ なるものも存在してるらしいよ」



そう言いながら、指を絡ませて 恋人繋ぎ を実践する。

それに対する菜乃葉は……、



「うん、普通に繋ぎづらい」



……と、さっさと普通の繋ぎ方に戻してしまった。

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