学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です


「ハァ……」



と大袈裟にため息をつきながら、校舎裏の更に奥へと進んでいく。


……居た。

やっぱり時雨くんだ。

携帯をいじっているから、まだ私に気づいていないらしい。


仕方ない。

私から声をかけよう。



「時雨くん。 伊勢谷くんに呼ばれてきたんだけど」



あ、まずい。

明らかに嫌そうな声になってしまった。

かと言って、今更 笑顔を取り繕うなんてしたくもないし……。


と思ったその時、私を見た時雨くんが 何故か眉間にシワを寄せた。



「……は? お前 誰?」



うん?

どういうことだ?


私を呼んだのって時雨くんだよね。

なのに、なんでナメクジでも見るような目で私を見るんだろう?



「俺が呼んだのは“美麗”って子なんだけど?」



さっきの私以上に不機嫌そうな声。

……呼び出されたのはこっちなのに、なんともまぁ酷い態度だ。

そんな態度を取られたら、こっちも当たり前のように不機嫌になる。



「私の名前は正真正銘 美麗ですが?」

「……お前、美麗って顔じゃねぇだろ……」



放っといてください。

ていうか……、



「女の子みたいな名前の人に言われたくないし」



……おっと、口が滑った。

いや嘘です。

わ ざ と 言 い ま し た 。

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