王女にツバメ
プロローグ
冬の朝は苦手だ。寒いから。
冷たい空気が肺を刺す。こんなことなら学校サボれば良かった、といつも後悔する。
同じホームの列に並ぶ社会人も同じことを思っているのだろうか。
思ったところで、どちらも叶うことは無いけれど。
ただ、雪が降ったら良いな、なんて。
「あ」
声の主は隣にいた。並んでいた女性が上を見上げている。
それを盗み見て、自分も寒空を見上げた。
白い破片が降ってきていた。
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