王女にツバメ
そして何故か、片手は親指が立っている。
「大丈夫、裏葉さんならいける。ぎりぎり大丈夫」
「何も大丈夫じゃない」
「とりあえず、その彼にまた会えたら良いですね」
「それは願い下げだってば」
しかし、その願い……決してあたしの願いではないものは、叶ってしまった。
おねーさん、と声が聞こえた。どこの誰のおねーさんだ、と最初は思ったけれど、二度目に聞いてどきりとした。
……聞いたこと、あるような。
電車に乗ってメールチェックをしていた。今日も今日とて残業。
顔を上げると、疲れもとぶような笑顔を見えた。