王女にツバメ
振り向くともちろん目が合う。その近さに驚きながらどぎまぎしてしまう。
今の子ってどぎまぎとか使わなさそう。
そんなことを思いながら、視線が自然と琉生の唇へいった。すっと重ねられて、すぐに離れる。
「裏葉さん、良い匂いする」
「シャンプーでしょう」
「目の隈すごいんだけど、ちゃんと眠れてる?」
そう言われて、顔を出来るだけ離す。
酷いのは隈だけじゃない。変に乙女心が芽生えてしまって、そんな自分が嫌になる。
この関係に素敵な名前なんてつけようがないのに。
「俺来ると、たいてい残業じゃない?」