王女にツバメ
「昨日の夜からずっとやってたんですよ……」
「だからそんなに眠そうなの?」
「眠いのはいつもなんですけど」
「あ、これブルーデージー?」
スタート画面に切り替わった。この前見た青い花が目に入る。
犬飼も一緒にそれを覗く。
「そうです。裏葉さんのストラップと同じ」
言われて、携帯をすっと隠した。いや、疚しいものは何もないけれど。
「もしかして例の若い彼氏とデートした時に買ったんですか?」
「彼氏じゃない、ツバメ」
「つばめって。え、あのヒモより何もしないやつですか? ツバメだったんですか」
え、え、と犬飼の質問が続く。