王女にツバメ
思考がそこまでいって、あたしは自分の頬をパチンと打った。
「あ、っぶない……」
前から来た人に変な目で見られたが、そんなのはどうでも良い。
なんて醜い人間になってしまったんだ……。
琉生に彼女がいた以上にそれにショックを受けた。
他人の幸せと、自分の不幸せは無関係だ。
あー、思い留まれる自分でいたことに感謝する。ありがとうお母さん、理性を備えて産んでくれて。
家に帰り、断捨離を始めた。元々そんなに物はないけれど、要らないものは捨てたい。
「裏葉さん、これどうしたの」
寝室とは別の部屋に押し込んだそれを見て、琉生は驚いた声を出す。