王女にツバメ

「全然怒ってない、驚いたけど。落ちたパスケース見ちゃって、ごめんね」
「それで返信無かったんじゃ」
「んーというより、もう止めた方が良いなと思って。お互いの為に」

なんだ、笑って話せる。
上司にブチギレたのが良かったかな。あれで感情が爆発したのかも。

「琉生だって将来あるし、あたしもいい加減現実見ないといけないし」
「現実?」
「……結婚とか?」

まず相手探しから、なんだけど。

「この家、元彼と一緒に住んでたの。別れて、寂しくって、そこを琉生に埋めて貰ってた。良い物件あって、今度引っ越すことにしたのね」
「どこ?」
「え?」

純粋に聞いてくるので、あたしも首を傾げる。

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