王女にツバメ

「……あたしといても、幸せになれないよ」

ああ、これが答えだ。
ずっとこれが言いたかった。

「アラサーだし、残業多いし、家事も人並み以下だし」
「裏葉さんっていくつ?」
「28……って言わなかったっけ?」
「え、28!? 見えねえ……」
「見えなくても28……琉生との歳の差はずっと縮まらない」

じわりと滲む。
視界が滲む。

「俺もずっと6歳下だし、夜遅くなるなら迎えに行くし、家事はやるよ。俺の幸せは裏葉さんと一緒にいることだから。それは取り上げないでほしい」

堪えていた涙は熱かった。

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