王女にツバメ
驚いた顔で固まる裏葉さん。
「残業は振り切って、俺は家事に全力を捧げるから大丈夫だよ」
「いや仕事はちゃんとしなよ」
呆れ笑いながら返された。
「あ、雪だ」
裏葉さんの声に、視線を窓の外に向ける。
ちらちらと白い破片が落ちてくる。
「裏葉さんのこと見た日も、雪だった」
俺の言葉に、裏葉さんがこちらを見た。焦げ茶の瞳が綺麗だ。
「雪降れば良いなーって思ってたら本当に降ってきて、裏葉さんがそれ見上げてちょっと笑ってて、可愛いなーと思った」
はくはくと口を開閉して、少し紅くなる。ぱっと視線を魚にやった。