王女にツバメ
その様子が本当に可愛い。
「それは多分、雪積もったら会社行かなくて良いって思ったからだよ」
「俺も同じこと思ってたー。寒いと学校行くの、その頃すげー嫌でさ。同志が居たんだなって安心した」
裏葉さんは白米を咀嚼し、飲み込んでからこちらを見る。
「他にも何か訊くことある?」
「あとは、特に」
「引っ越し手伝うから、合鍵くれる? 家賃半分払うし」
何かを考え、飲み込み、裏葉さんは決断を下す。
「家賃は払わなくて良い……スペアキーは渡しとく」
「まじで! やったー」
明るい未来への第一歩。内定を貰ったときより嬉しいかもしれない。